今、多くの人が健康や美容やダイエットのために、ヨガを行っていますよね。
そんなヨガは、約6000年前にインドではじまりました。
もともとのヨガは、今のように、健康や美容のために、むずかしいポーズを行うものではありませんでした。
ヨガは、解脱のための手段のようなものだったのです。
ヨガで解脱を目指す人のための教典として、「ヨーガ・スートラ」という本があります。
この「ヨーガ・スートラ」の中に、苦しい人生をいかにして生き、解脱に至るべきかということが書いてあるわけですが、この「ヨーガ・スートラ」の中に出てくる言葉の中に、今のストレス社会にも通じる言葉が、驚くほどたくさん出てくるのです。
その中で、今日は、サントーシャという言葉をご紹介します。
サントーシャとは「足るを知ること」
「ヨーガ・スートラ」の中には、解脱に至るまでを、八段階に分けて書いています。
一段階目は、ヨガを始める前の人間としての心構えのようなものです。
アヒムサー(非暴力)サティヤ(真理)アステーヤ(盗みをしないこと)……などなど、様々な禁止事項が書かれています。
そして、二段階目には、ヨガを志すものが、ぜひともすべきことが書かれています。
タパス(苦行)、サントーシャ(満足、足るを知ること)
そう、ヨガを志す人がぜひともすべきことの中に、サントーシャという言葉は、出てくるのです。
そして、サントーシャとは、日本語に訳すと「満足するということ」
つまり、今あるものに満足して、余分なものを欲しがったりしないこと。
足るを知ること…という意味になります。
なぜ人はないものねだりをするのか?
今あるものに満足して、余分なものを欲しがったりするなと言われても、なかなか難しいものがありますよね。
ヨガで解脱を目指すならぜひともしなければならないことであり、それこそが、幸せになるための道であると「ヨーガ・スートラ」には書いてあるわけですが、どうしても、ないものねだりをしてしまうのが人間です。
けれども、ないものねだりをすることは、絶対にいけないことなのでしょうか。
もしも、人が、ないものねだりをしなかったら、そもそも、人類の文明は発達していなかったはずです。
寒いから暖かくなりたいと思って、火というものを発見したわけですし、もっと便利に獲物をとりたいと思って、道具を発明したわけです。
現代の私達だって、お腹がすいたら、食べ物がほしいと思うのは当たり前のことですし、喉が乾いたら、水を飲みたいと思うのは当然のことです。
食べ物も、飲み物もないけれども、今、何もない状態に満足していようと思って、座っているだけだったら、私達は死んでしまいます。
ですから、人がないものねだりをすることは、生きていく上で、自然なことなのだともいえますよね。
今あるものに感謝しよう
それでも、ないものねだりばかりしていたら、どうでしょう。
あの人の方がカッコイイ彼氏を持っているとか、あの人の着ている服の方がずっと上等だとか、うちの家族よりも、隣の家族の方がずっと幸せそうだとか、そんなことばっかり考えていたら、心に不満がたまっていくばかりですね。
ないものねだりにも、限度がなくてはいけません。
そこで登場するのが、サントーシャ、今あるものに満足するということ、足るを知るということです。
あの人はカッコイイ彼氏を持っているけれども、私の彼氏はとても優しいと思うとか。
あの人の着ている服は上等だけれども、私の服は母が縫い直してくれた思い出のつまった服だと思うとか。
隣の家族は幸せそうだけれども、うちの家族にだって、いいところはたくさんあると思うとか。
今、自分が持っている幸せを思い返してみた方が、良い気分になりますよね。
今の自分を取り巻く環境を、すぐに激変させるのはとてもむずかしいことです。
けれども、自分が今持っている幸せに目を向けることはすぐにできます。
当たり前の日常を送ることができるって素晴らしいことですよね。
病気で入院したり、震災や津波、大豪雨などの災害にあって、家や家族を失ってしまった方はなおさら、身に染みて、実感なさると思いますが、頭の上に屋根があり、大事な人がそばにおり、自分の部屋のベットで眠れるということ。
当たり前の日常を、普通に生きることができるって、本当にありえないくらい、奇跡的なことなんですよね。
当たり前に家から出て、学校や会社に出かけることができるという奇跡を実感するということ。
家族と手をふりあい、それぞれの学校や職場に出かけることができるということ。
家族を笑顔で送り出して、洗濯物を回せるということ。
それが素晴らしいことだと実感することこそ、サントーシャです。
今、ここにあるものに感謝するということ、それは、幸せになるための一番の近道だといえますね。
まとめ
ないものねだりをすることは、必ずしも悪いことだとはいえません。
生きていく上で、ないものねだりをすることは当たり前の感情だともいえます。
けれども、今ある幸せに目を向けるということは、幸福度を上げるための一番の近道です。
頭の上に空があり、自分のまわりに空気があり、その空気を吸いながら生きることができるという当たり前に自分が持っている幸せをかみしめ、サントーシャの精神で喜びを見つけて、幸せ度をあげてみましょう。